恋した責任、取ってください。
目元を大地さんのそれに瓜二つにして、恵麻さんは何でもないようにニッコリと微笑んだ。
まるで大地さんに言われているみたいで、不安と緊張に支配されていた心臓がやっと解放されてじわじわと温かくなっていく。
そうか、私みたいなタイプも全然ありで、恥ずかしいことなんかじゃないんだ……。
すると恵麻さんは、続けてこうも言う。
「私の場合、初めてのときは、周りの子に遅れちゃマズいって気持ちばっかりだったように思うなぁ。高校のときのバスケ部の先輩だったんだけど、今になって振り返ると、なんであの人だったんだろう?って思わなくもない、みたいな。もちろん好きだったから素敵な思い出ではあるけど、でも、私もなっちゃんみたいにもう少し自分を大事にしてたら、何かに急かされるみたいに“しなくちゃ”って気持ちではしなかったかもしれないって思うことは、時々ある」
「恵麻さん……」
「たぶん、周りがどんどん初体験を済ませていくと、劣等感っていうのかな、そういうのを感じて焦る子のほうが多いと思うの。多感な時期だと特にね。私もその一人だし。でもなっちゃんは違う。それって、他人に流されないっていう強さの証明なんじゃないかな。この歳まで大事にしてきたんだもん、本当に想いが通じ合った人としたほうが絶対にいいと私は思う!」
いつの間にか握り拳を作って力説していた恵麻さんは、言い終わるとハッとして手を解き、それをビールジョッキに伸ばした。
けれど残りはほんの少ししかなく、グビッと飲み干して慌てて2杯目を注文すると、彼女にしては珍しく頬をほんのりと赤らめて言う。
「ごめん、なんか語りすぎた。恥ずかしい……」
「いえ!そんな!」
顔の前でせわしなく手をバタバタとさせる私を半信半疑の目で見つめ、恵麻さんは「ほんとー?」と言いながらぷっくりと唇を尖らせる。
あ、恵麻さん超可愛い。
じゃなくって。
「嬉しいです。とっても!」