恋した責任、取ってください。
やっぱり恵麻さんもご不満が!? どこら辺ですか!?と心臓をバックンバックンさせていれば。
「今は大地を男として見てるんだから、何も問題はナシ!なっちゃんは純情すぎるだけ!」
「……」
「あと、単になっちゃんの周りにイイ男がいなかっただけだと思う。恋に落ちるって言うくらいだし、惹かれるときは、どうしても惹かれちゃうものなの。こう言うと大地がイイ男に聞こえてイタい姉っぽいけど、なっちゃん自身がモテるモテないの問題じゃないと思う!」
ジョッキを持ったままビシッと人差し指を突き出した彼女にキッパリと断言されてしまい、私は、呆けたウズラ顔で固まった。
大地さんを一目見た瞬間に恋に落ちたということは、長年の悩みの種であった初恋は、今までの気苦労がバカらしく思えるくらいあっさりと解決されたわけで、そこはもう、大地さんありがとう!としか言いようがないのだけど。
にしても、誰も好きになれなかった理由を男の人のせいにできる恵麻さん、格好よすぎます!
惚れ惚れしていると、しかし急に恵麻さんの顔つきが険しいものに変わり、唐突に言われる。
「あ!ていうか、なっちゃん全然飲んでないじゃない!私にばっかり飲ませて可愛くない!」
「ええぇぇっ!?」
「いいから飲みなさい!」
頼んだはいいものの、ほとんど口をつけていないままだったウーロンハイのグラスをずいっと差し出され、氷が溶けて上のほうが水っぽくなっているそれに、私はおずおずと口をつける。
大地さんはザルだけど恵麻さんはそうでもないのだろうか、ビール2杯で出来上がりつつある彼女の1時間後がわりと想像できてしまい、恵麻さんがお手洗いにでも立った隙にグラスの中身をウーロン茶に変えようと密かに思う。
という間に。
「あ、もしもし頼人さーん? 迎えに来て~。いつもの九ちゃんで飲んでるからね~」
スマホを耳に当てた恵麻さんは、可愛らしく旦那さんであるコーチにラブコールをしている。