恋した責任、取ってください。
 
そうとなれば、佐藤さんをちょいちょい挟んでくる件については、酔っ払いの戯れ言として適当に片づけても良さそうな気がしてきた。

上司プラス大地さんのお姉さんに向かって大概失礼だけど、だって佐藤さんが出てくる理由が私にはさっぱりなのだから仕方がないと思う。

毒舌思考でごめんなさい、と心で謝りつつ、お冷やでぽぅ……とセクシーな溜め息をつく恵麻さんと共にコーチがお店に現れるのを待つ。


コーチは今、ブルスタが運営しているスポーツチームで子供たちの指導もしていて、毎週金曜日のスクール開校日の今日は、おそらく会社近くの体育館から迎えに来ると思われる。

シーズンが開幕すると今のような指導体制は取れなくなるけど、そこは奥さんでありバスケ経験者、かつ指導者の資格も持っている恵麻さんが引き継ぎ、指導しているのだという。

2人の馴れ初めについては詳しくは知らないものの、コーチはその通りプロリーグで"ブル"の名で知られていた選手だったので、惜しまれつつ引退した後、彼に指導者としてブルスタに来てもらえないかと恵麻さんがラブコールをしたことがきっかけで、去年、3年の交際期間を経て結婚まで至ったと、そういうことらしい。


「んもう、なっちゃんの純情すぎる話を聞いたら頼人さんとしたくなっちゃったじゃないの、どう責任取ってくれるのよぉ~」

「ちょっ、恵麻さん飲みすぎ……っ!」


気がつくと私のウーロンハイに口をつけていた恵麻さんの手から慌ててグラスを引き抜き、通りかかった店員さんにコソッと「ウーロン茶と取り換えてください」とお願いする。

気を利かせてすぐに持ってきてくれたウーロン茶を恵麻さんに預けると、彼女はそれを飲みながら「でもぉ」と不服そうに唇を尖らせた。

か、可愛い……。

サポートチームのほうでの歓迎会では、恵麻さんは場を仕切っていたため、仕事の延長線みたいなところもあってか、あんまり酔っていた印象はなかったけど、なるほど、プライベートでお酒を飲むとこうなるわけですな。
 
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