恋した責任、取ってください。
そう思えなくもない……というか、むしろそう考えたほうが辻褄が合う彼女の行動や言動の数々に、私の顔は急速に熱を帯びてくる。
顔どころか、耳も、手も、足の裏も、全身が火照って発汗具合が尋常ではないんですけども、一体これ、どうしたらいいですか。
「なに、例のアレって」
すると案の定、きょとんとした様子の大地さんの声が、私の頭上高くから聞こえてくる。
ほら、だからですよ恵麻さん!
あからさまに視線を明後日の方向に泳がせつつ「さ、さあ、何のことでしょう、あははー」と返す私は、きっと大地さんの目には不審者っぽく映っていること、この上ないだろう。
「じゃーね~、また月曜日~」
「……お疲れさまでした」
しかし、どこまでもマイペースな恵麻さんは、言うことを言って満足したように満面の笑みを浮かべて手をヒラヒラと振っているので、私もぎこちなく口角を持ち上げて手を振り返した。
最終的にコーチにご馳走して頂いた形になったため、一言お礼を思い、声をかけようとしたけど、ラブラブな2人はすでに暖簾の向こう。
「俺から言っとくから気にしないで」
「すみません、恐縮です……」
大地さんにポンと頭に手を置かれた私は、思わぬスキンシップにドギマギしつつ、萎縮しながら店の外に出たのだった。
ああ、私ってばタイミング悪すぎ……。
金曜日の街は明らかに浮き立っていて、1週間分の疲れを発散し、一時の解放感を味わうために集った人たちでとても賑わっていた。
今日は私も、例に漏れずに居酒屋さんで飲み、恵麻さんを相手に自分史上最大の赤裸々告白をしたわけだけど、確実にそのせいでいつも以上に大地さんを意識してしまい、全く喋れない。
極めつけは、別れる間際の“例のアレ”だ。
『絶対引かれないから』とは言われたものの、果たして、ただの酔っ払いにそこまで断言できる思考能力が残っていたのだろうか。
……気まずい。ものすごーく。