恋した責任、取ってください。
「なっちゃんは、このまま帰る?」
「そ、そうですね、金曜日なのに無理言って妹に愛犬のお世話を頼んだので、交代してあげたいと思ってます。あの子、私と違って友達も多いし顔も広いからよく誘われるんで」
「じゃあ、部屋まで送るね」
コーチに介抱される恵麻さんの姿をやや呆れた様子で眺めていた大地さんは、気持ちを切り替えるように短く息を吐き出すと、駅の方向に体を向けつつ私を見下ろして微笑した。
ドッキーン!
微笑まれるだけで緊張感が増すので無駄に笑わないでもらえますかね!心臓に悪いです!
「……お世話になります」
「うん、いいよー」
一人、勝手に心臓をバックンバックンさせながら大地さんの数歩後ろをテクテク付いていく。
私服姿とかあんまり見る機会がないけど、なんでこんなにスタイルがいいんだろう。
いや、バリバリのスポーツマンだからいい体をしているのは当たり前なんだけど、193cmの長身に対してだけじゃなく、容姿やスタイルの良さ、服のセンスといった総合力がずば抜けて高いから、女性にガンガン注目されている。
キョロキョロと周りを見渡して、その注目度から、とんでもない人を好きになっちゃったんだなぁと改めて肌で感じてしまう。
でも同時に、逆に身が引き締まる思いもする。
ここで大地さんに目をハートにしている彼女たちに対して“メガネウズラが連れっぽくてごめんなさい”と心で謝らなくなったことが、私なりに成長できたかなと自負できる部分だったり。
と。
「なんで隣歩いてくれないの?」
ちょっぴり不満げな声がして、周りに向けていた目を慌てて大地さんの背中に戻す。
その背中を辿って顔まで目線を持っていくと、声色と一緒の不満げな彼の瞳とバッチリ目が合って、少し落ち着いた心臓がまた暴れ出した。
なんでこう、何でもないように胸キュンな台詞を言えちゃうんだろうか、この人は……。