恋した責任、取ってください。
 
私の気持ちに全く気づいていなさそうな大地さんの態度にキュッと胸が締め付けられるような切ない感覚を覚えつつ、でも伝えていないからだよねと自分を奮い立たせる。

大地さんは悪気がないぶん厄介な天然タラシ。

頭ポンポンや、もしかしたら大地さんも私のことが好きなのかも!?と思ってしまうような一言にだって、きっと特別な意味はない。

こちらもそれ相応の覚悟で対応せねば。


「すみません、大地さんの後ろだと人とすれ違うときに避けなくていいから歩きやすくって」

「そっかぁ、俺は便利なんだなあ」

「……ええ、大きいからとっても便利です」


本当は隣に並ぶだけで心臓が大変なことになるからという理由なんだけど、まだ言えそうにないから適当に誤魔化したら大地さんが素でボケてきたので、とりあえず乗ってみる。

会話が成り立つなら、この際何でもいい。

そして“例のアレ”が出てこなければ、何でも。


大地さんの隣に並び、スローペースな人の流れに乗ってゆったりとした速度で駅へ向かう。

横に並ぶと後ろを歩いていたときよりずっと意識してしまうけど、だって好きだ、仕方がない。


「上手いこと言うねー。大きいと高いところのものにも余裕で手が届くから便利だしね」

「道端に落ちてる小銭は小さいほうが拾いやすいですよ。……そうそう落ちてないですけど」

「みんな財布の紐が固いねー」


……大地さん、感想が斜め45度な感じです、ちょっと残念な人になりつつあります。

バスケをしているときは敵味方の位置に常に目を配り、がっちりゴール下を守って隙あらばダンクで得点を取り、リバウンドも負け無しって感じなのに、ひとたびバスケから離れると、言いにくいんだけど、とても緩い……頭のネジが。

まあ、そういうところもひっくるめて私は大地さんが好きだし、本音は、ちょうどいい具合に緊張もほぐれて逆に助かっちゃったりする。
 
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