恋した責任、取ってください。
しみじみ噛み締めるように大地さんが言った。
“小さい”の前に“つくづく”なんて付くとウズラよりも小さい生物になった気がしてきて、正直なところ微妙にリアクションが取りづらい。
でもなんだかやけに実感がこもっているような言い方だったから、咄嗟の反応に困ってしまって、相槌も打てないまま大地さんを見上げた。
「あ、今のは、歓迎会のときに眠ったなっちゃんを送りながらした話なんだけどね。俺も背中に乗せながら思ったよ、こんなに軽いと、いつかどっかに飛んでいきそうだなって」
「そんな。……飛ぶほど軽くはないですよ」
「うん、そうなんだけどね」
表情は私が見る限りではいつも通り、けれど声にどこか切なさを孕んだ相槌は、耳に届いた瞬間に私の胸の奥をチクリと刺した。
どうしてだろう、何気ない会話のはずなのに、飛んでいきそうなんて抽象的なことを言うから否応なしに胸がざわついてきてしまう。
いつもフワフワしていて掴みどころがないのは大地さんのほうじゃないですか。
「大地さんは、」
「ん?」
「いえ、なんでも。電車、来ましたね」
「だねぇ」
私と背格好が似た人と、そういう恋をしたんですか--喉まで出かかった質問は、ホームを照らす白い光によって結局別のものに変わった。
九兵衛での恵麻さんの『相手が大地だと一筋縄ではいかないかもしれないわね』という言葉が急に現実味を帯びて目の前に迫ってきて、たった今まで盛んに燃えていた恋の炎が一気に萎んでしまったような感覚になったのだ。
太刀打ちできない……かもしれない。
私がそばにいると苦しいかもしれない。
大地さんは、私と背格好が似ているその人のことを、今でもまだ想っているかもしれない。
あらゆる想像が掻き立てられて、嫌でも頭の中がごちゃごちゃになっていく。