恋した責任、取ってください。
 
ああ、本当に私に想われるのは迷惑なんだな。

そう思った瞬間、私の中で何かがパチンと弾けた音がして、悲しい気持ちや苦しい気持ち、胸の痛みを通り越して急におかしくなった。

自分でもかなり不自然だと分かる笑顔がまるで仮面のように顔に張り付き、妙に明るい自分の声が人気のない廊下にカラカラと響く。


「もー、なんですか大地さん!私だけは恋愛対象としてあり得ないのは分かってますから、そんなに思いっきり言わないでくださいよ」

「え……」

「それと、胃が痛くなるのは、自分の意志とは関係なく新しい環境になって不安でいっぱいなときっていうか、いつも自分のせいですから、大地さんのことで胃が痛むことは今までだってなかったですよ。大丈夫です。あはは」


ああもう、自分の笑い声がうるさい。

頭がガンガンしそうだ。

痛かったのは胸です。

恋煩いという名前の、胸の痛みです。


一つ息をついて、口を開く。

やっぱり、ちょっとそこら辺で泣かせてもらわないとこの現実に耐えられそうにない。


「すみません、ちょっと忘れ物を思い出したので一回戻ります。失礼しますっ……!」

「あっ、なっちゃん!」


呼び止める大地さんの声を振り切って、エレベーターのほうへ一目散に駆ける。

本当は忘れ物なんてない。

だってここへ来る前、20回は確認したもの。

でも、だからって、ほかの皆さんが集まるまで体育館で大地さんと2人で待っているなんて、今の精神状態ではだいぶ無理がある。


残念ながらエレベーターは使われていたので、廊下の角を折れたところでうずくまる。

ホント大地さんってああいうときまで優しいというか天然タラシというか……心配しながらフラれると余計傷つくって気づかないんだろうか。


「ああ、もう~~……」


一人になって気が緩んだ途端こらえていた涙がドバドバ出てきて、もうどうしようもない。

頑張れ私!あと5分で泣き止め!
 
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