理想の恋人って!?
「練習試合?」
「そう。明梨ってさ、スポーツってわりと何でも好きだろ? 練習試合とはいえ相手も結構強いチームだから、観てても退屈しないと思うし」
「あ、うん……。わかった」

 私の返事を聞いて、晃一が嬉しそうに片手を振った。私も小さく手を振る。晃一が背中を向けて、彼の実家のある方へと角を曲がった。

 私はふうっと息を吐き出した。この数時間で、気持ちが嵐のように揺れ動いた気がする。

 美佳たちにのせられてデートをする羽目になったときは、晃一と手をつないだりキスしたりするなんてありえない、と思っていた。けれど、そのありえない展開になったあげく、次の約束までしてしまった。

 晃一にとって、どこからどこまでが理想のデートなんだろう。手をつなぐところ? キスするところ? 次の約束をするところ? それともやっぱり全部?

 またもや深いため息がこぼれる。今夜は悩んでしまって、あまり眠れそうにない。
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