汝は人狼なりや?(※修正中。順を追って公開していきます)
 床に広がる、上杉くんの額から流れ出す赤い血。僕を含め、何が起きたのか理解が出来ない一同だったけれど、やがて、少しの間があったあと、密室は阿鼻叫喚に包まれた。

 今、自分たちの目の前で起きたことが信じられなくて、目を逸らしたくて、元凶である狼谷くんから離れようとして、開かないと分かっていてもドアを乱暴に叩き、誰もいない様子の外に向かって助けを呼ぶクラスメートたち。


「そんなに逃げなくてもいいじゃん。仲良く殺し合おうぜェ?」

「いやあああっ!来ないでえええっ!」


 ……僕は、額から血を垂れ流しながら動かなくなった上杉くんの身体から目が離せないまま、動けないでいた。目の前で起こっている現状に、頭がついていかない。

 上杉くんが動かなくなったのは、どうして?どうして血が流れているの?銃器で撃たれたから?狼谷くんはその銃器を「本物」と言っていた。本物?本物の拳銃?どうして?撃たれた?どうして?死ん、だ?死……?

 だって、さっきまで普通に話していたのに。この状況について話し合って、打開策があればと思っていたのに。動いていたのに。息していたのに。話していたのに。生きていたのに。生きていた……のに……。生き……て……。

 呼吸が荒くなる。こわい。信じられない。風子のこともあって、動かなくなった身体を見るのは初めてじゃないのに。目の前でこうもあっさりと動かなくなってしまって、残酷な現実を叩き付けられて、まともでいられるわけがなかった。

 無意識のうちにカタカタと震える僕の両手。いつの間にか隣にいた夜桜さんが、ギュッと包むように握ってくれた。そして、そっと僕の名前を呼ぶ。握ってくれたその体温と、そっと名前を呼んでくれたのとで、初めて、夜桜さんの存在に気付く。
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