汝は人狼なりや?(※修正中。順を追って公開していきます)
 それは、隣に立って、僕らのやり取りを見守るかのように見ていた黒月くんにも言えることなのかもしれない。

 黒月くんの肝は座っているように見えるし、冷静そのものだ。彼もまた、目の前の恐怖に立ち向かおうとしているんだ。

 ……僕だって、〝このまま〟は、嫌だ。


「狼谷くんを、とめなくちゃ」


 このままじゃいけない。そんなのは分かっている。でも、口をついて出た言葉は、もはやこの場において当たり前のことだった。

 狼谷くんをとめる。そんなこと、誰だって分かっているし、誰だってそう思っているはずだ。……けれど、僕の発言に2人はうなずく。

 それは、自分たちも僕と同じ気持ちを持っていてくれて、わざわざ僕が発言しなくても、2人は僕と同じ発言をしていたことを意味していた。

 ──さて。『狼谷くんをとめる』と言葉にするのは簡単だけれど、どうやってとめたらいいのだろうか?

 上杉くんは死んだ。狼谷くんの手によって。それは紛れもない事実で、目を逸らそうが逃げようが、どうしようもないくらいに真実だ。飲み込みたくなんかなかったけれど、だんだんと今のこの現状が飲み込めてきた。

 いくら狼谷くんが上杉くんを殺したからといって、殺しは何がなんでもしたくないし、しちゃいけないと思うから……。とりあえず、とめるには、気絶させることが最善策だったりするかな?

 ……気絶?
 どうやって?

 人狼疑惑のある彼を気絶させるだなんて、出来るのかな?

 首の辺りを叩いて気絶させる方法を見たことがあるけれど、実際にはしたことがないし、うまく気絶させられる自信はないし……。

 頭に強い衝撃をあたえてみる……?
 鈍器で思い切り頭を叩く、とか……?
 ……それ、死なないかな。大丈夫かな?
< 57 / 103 >

この作品をシェア

pagetop