汝は人狼なりや?(※修正中。順を追って公開していきます)
「どうするも何も……」

「どうしたらいいのか、分からないよ……」


 しゅんと肩を落とす、みんな。

 テレビに表示されていたことが本当なら、この場にいる人間と人狼が殺し合わないといけないことになるけれど……もちろん、僕はそんなことはしたくない。

 狼谷くんのこともよく分からないままだ。本人が言っていたように、本当に人狼なんだろうか?

 さっきまでの一連の流れを思い返してみて……彼から発せられる気迫や眼光は、本物の人狼だと物語っているように見えた。実際、上杉くんは狼谷くんに殺されて、死んでしまった。

 狼谷くんの性格なら、人間だろうと人狼だろうと引き金を引いていたように思うけれど、今はそれを確かめることは出来ない。また、殺されてしまった上杉くんが、人間だったのか人狼だったのかさえ──。

 そこまで考えて、僕はハッとして首を横に振る。何を考えているんだ、僕は。上杉くんは人間……のはずだろう?狼谷くんだって。このクラスメートの中に人狼がいるだなんて……未だ信じられないでいる自分がいる。

 もう、このまま、みんなで大人しく助けが来るのを待つ方がいいんじゃないだろうか?そうしたらもう誰も死なないし、殺されない……。僕たちをここへ閉じ込めた犯人の思い通りには、ならない。けれど……この密室がどこなのかが分からない。助けとやらがいつ来るのかも、分からない。

 いつまでも帰ってこない、僕たちのことを不思議に思った各々の家の者たちが、警察に捜索願いを出している可能性は充分にある。しかも、ひとつのクラスの生徒全員が帰ってきていないとなったら、大きな事件として扱われるだろう。今まさに捜索されているのかもしれない。
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