汝は人狼なりや?(※修正中。順を追って公開していきます)
でも、必ず助けがくると保証されているわけではないし、いつ来るか分からないその助けに縋るだけっていうのは……あんまり良くない、かな?
ふと、先程から気になっていた、壁に沿うようにしてある、扉のついた小さな個室らしい出っ張りに視線を向ける。近寄ってその個室の扉のドアノブをひねって中を見ると、案の定、洋式のトイレだった。水も流れる。
これなら周りのみんなの目を気にしながら用を足すことはなくなりそうで、ひとつ、問題は減った。
けれど──食料は、見当たらない。のちに、犯人から時間になったら支給されるのかもしれないけれど、されなかったら……ここから出るまでの間は、誰も一切食事にありつけないことになる。
……人狼なら、人間の肉が食事になるから、その心配はないのだろうか。お腹が空いたら周りの人間を食らったらいいんだもんな。
最悪な未来を想像しながらも、僕には助けが来ることを待つことしか出来ない。上杉くんが死んでしまったこの密室で……上杉くんを殺した西藤くんがいるこの狭い密室の中で、ずっと……。
そんなの、気がおかしくなりそうだ。むしろ、もう気が変になっていてもおかしくないとさえ思う。
「そうですわね。これからどうなるのか、何をしたらいいのか……お先が真っ暗ですわね」
「そう言う西園寺は、何かいい案はないのかよ?」
「あなたが期待しているような答えはないですわ」
火神くんが問い掛けると、西園寺さんは即答した。そして、両目を見開いてにこやかとした微笑みを、火神くんに向ける。
「だって、私──このゲームを面白いと思っていますもの」
「なっ?!」
予想だにしなかった発言を耳にし、思わず自分の耳を疑った。