晴れ、のち晴れ
葵のシャツはあたしには大きかった。だけど、袖を折ってしまえばなんとか着れるし、濡れたままでいるよりましだった。
「先生へ言いにいけよ」
「なんで?」
助けてくれるなんて保証ないのに。
「言いにくいんだったら俺が言ってやるけど」
そう言った葵は、あたしの手を取って学校の方へ引っぱった。
あたしは慌てて力いっぱい抵抗する。
「いい、いいから、本当にっ」
「…なんでそんなに嫌がるんだよ」
「大丈夫だから、あたし…」
「俺、夢香がそんな目に会っていたら嫌だけど」
「あたしは夢香じゃない」
「そういうことを言ってるんじゃないっ」
葵が声を荒げた。怖いほどに真剣だ。