晴れ、のち晴れ
怒りの滲んだ冷たい眼差しがあたしを見下ろしている。
あたしは夢香じゃないというのは本音だ。
親も兄弟もいないあたしは、誰かに守ってもらうことなんてできない。
そんなこと、期待するだけ無駄だ。
だったら、最初から期待しなければいい。
そうすれば、どこも痛まないのだから。
あたしは可哀相なんかじゃないという強がりが、あたしを支えているのだ。
「あたしはあんたが思うような可哀相な子じゃないし、誰かの助けなんて必要ない」
言い切ったあたしを、葵は、無言のまま見つめている。何を考えているか分からない瞳だ。
「俺は」
静かな声だ。葵はさっきとはうって変わって落ち着いている。
「それでも俺はお前が可哀相な奴だと思う」
頭にかっと血が上った。