いい加減な恋のススメ










ガララッ


「あ、」

「……」


参考書を返しに資料室に来たら先客がいた。それも今私が1番会いたくなかった人だ。
ソファーに座っていた幸澤先生は一瞬私のことを見たけれど興味無さげに視線を逸らす。

あの出来事からもう3日は経ってしまったけれど、それでも私と彼は相変わらずだ。
私もそんな彼を無視して本棚の部屋の方へと足を進める。彼に言われた通り、ちゃんと授業の準備は進んでいる。大丈夫だ。


「(あれ、この本どこだったっけ)」


私はその大量にある本の倉庫全体を見渡した。こんだけ沢山あったらどれがどこに置いてあったか分からなくなってしまう。
でもきっと並び方があるんだろうけれど、だからあんまりいい加減に置きたくはない。

1番良い方法は彼に聞くか、彼に本を返すことだけど、それだけは私のプライドが許してくれなかった。
私がどうしようかと並んでいる本のタイトルを1つ1つ眺めていると隣で誰かがコンコンと本棚を叩いた。


「それ、ここ」


誰かと言ってもこの部屋にいる私以外の人と言えばこの人しかいないのだけど。
私は幸澤先生の顔を見上げるとお礼も何も言わずに指示されたところに本を直した。



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