いい加減な恋のススメ
文化祭の準備も佳境に入ってきていた。私は被服室の窓に段ボールを貼り付ける仕事を担っていた。カーテンでも防げない光を防止するためだ。
お化け役の生徒たちも気合いが入っているようでどれが1番怖いか等と幸澤先生と話している。
「おい幸澤!ヒビってんのかよ!」
「こんな明るい場所でビビるわけねぇだろ。てか普通にお前ら、文化祭回ることも考えとけよ」
「お、幸澤も一緒に回ろうぜ!」
「俺は仕事だからなー」
「マジかよ!」
彼らの会話を聞いていると下から「泉ちゃん」と声を掛けられる。視線を向けた先にいたのは坂口さんだった。
「あ、な、何?」
「このライト、上から吊るしたいんだけど……」
「……わかりました、やってみます」
私が坂口さんからライトを預かると彼女は「お願いします」と言って離れていった。離れていく瞬間、やっぱり彼女も幸澤先生のことを見た。
まるで同級生の男の子に向けるような目であったから、私は思わず「可愛いな」と思ったけど、それでも私の胸の中の苛立ちが収まることは無かった。
いつだって1番にいたかった。そんな自分を好きになれるから。だから報われないのは辛いって思う。
こんなに頑張ってるのに……
「(頑張ってね)」
て、言えたらいいのに。