いい加減な恋のススメ
それよりも、
「面倒なことって」
「ん?」
私が他人から見て後回しにしようとしているのは一体何なのだろうか。
そう聞いてみたくなってリック先生を見つめれば、彼はクスリと不適に笑った。そして私の方へと近付いてくる。
そして、
「勿論」
「っ……」
そう、耳元で囁かれた言葉に驚き目でリック先生を見ると彼はそのままの意味深な表情のまま、立ち去っていってしまった。
どうして彼がそんなことを知っているのだろうか。私はそんな驚きが隠せずにいた。
私がただ分かりやすいだけか、それとも向こうの観察眼が優れているだけか。
「安藤先生」
「っ……あ、小田切先生」
声を掛けられ振り返ると小田切先生が立っていた。
「今のリック先生ですか?」
「は、はい……」
「何かあったんですか?様子変でしたけど」
「……さぁ?」
私は誤魔化すかのように顔を傾けた。小田切先生には、悟られたくない。絶対に変に思われたくない。
「それより小田切先生は何故ここに?」
「あー、ちょっと時間出来たんで顔見にこようかなって」
「っ……」
そう言ってくれた小田切先生を見て、私はこの人のことを裏切れないなと思った。こんないい人のことを、傷付けるような真似、私には無理だ。
―――「勿論、幸澤のことさ」
私の本心がどうであれ。