いい加減な恋のススメ
「別に、違います!」
「安藤も不良になったな」
「だから違う!」
怒って彼の方を体を向けるとその服装が目に入る。彼ももう殆んど寝る予定だったのかもしれない。完全に部屋着だ。そして凄くラフ。なのにこの男は格好よく着こなしている。
確かに皆が言うように見た目はいいけど……て、
「(私超素っぴんじゃん!)」
その事に気が付くと私は慌てて彼に背を向ける。しかも寝る前だからほぼパジャマに近いし、こんな姿で知り合いに会うなんて運が悪すぎる!
いやぁ~、と声を漏らす私に彼は「何してんの」と冷たい声を掛けた。
「つーか女がこんな時間に外出歩くなっつーの。知り合いじゃなくてもハラハラするわ」
「そ、そんなの幸澤先生に関係ないじゃないですか!」
「はぁ?」
「っ……」
ヤバい、返事間違えたかも。幸澤先生は私のことを心配して言ってくれたのにその言葉を彼が言うなんて思っていなかったから、つい吃驚して意地張っちゃった。
だけど今更言い直すなんてことも出来ない私はただ彼に背を向けたまま沈んでいた。