いい加減な恋のススメ



すると、


「っ……」


急に腕を引かれて私の体がグラつく。そしてそのまま誰かに受け止められた。
急に近くなった彼の匂いに動揺を隠せない。まるで彼に抱き締められているようだ。


「な、なにすっ」

「うっせ、邪魔だ」

「は!?」

「だからー、」


後ろ人通るから、と言われて振り返ると確かに会社帰りっぽいサラリーマンが私の後ろを通っていた。
私は思わず「す、すみません!」と謝ったがその男性はペコリと軽く会釈をして言ってしまった。

そ、そんなことより!


「っ……」


近い、近すぎる。ていうか後ろの人通ったのにまだこうしてる必要ないよね。
それに彼も薄着だし私もそうだから、幸澤先生の体温が直に伝わるというか、なんというか……

あの夜のことを思い出して……

かぁっと一気に顔が熱くなるのを感じて顔を下げる。いい加減忘れたらいいのに、私の馬鹿。
そろそろ離して、と私が顔が赤くなっているのを隠しながら彼のことを見上げるとそんな私のことを凄く怖い顔で見ていたため、ビクッと体を反応させた。

な、何で怒ってるの?怒るなら私の方じゃないか。




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