いい加減な恋のススメ
「……」
隣にいる幸澤先生のことを見上げる。彼はこんな事態だというのにやけに涼しそうな顔をしていた。
「ど、どうするんですか!」
「仕方ねぇだろ」
「仕方ないって、もうすぐ始まっちゃいますよ!?」
「だってアイツら本気なんだぜ?」
俺押された勢いでさっき目の前の壁に激突したし、と彼は目の前の壁を親指で指した。
「でも時間ねぇのは事実だし、さっさと抜けようぜ」
「……」
私がそれでも不安にそうにしていたからか、彼は「何?」とニヤリと笑った。
「もしかして安藤せんせー、怖いの?」
「は、はぁ!?んなわけ!」
「別にいいよー?俺にしがみついても」
「っ……そんなことしません!」
私たちがそんなことを話し合っている内に待てなくなったのか、「2人とも早くしてよー」と奥の方から声が聞こえてきた。
それを聞いた幸澤先生は目線だけで私に「行け」と指示をする。
本当に怖いのは彼なのではないだろうか。よし、彼が怖がるところを私が笑ってやろう。
そんな強い気持ちで私は前へと踏み出した。