いい加減な恋のススメ



「……」


隣にいる幸澤先生のことを見上げる。彼はこんな事態だというのにやけに涼しそうな顔をしていた。


「ど、どうするんですか!」

「仕方ねぇだろ」

「仕方ないって、もうすぐ始まっちゃいますよ!?」

「だってアイツら本気なんだぜ?」


俺押された勢いでさっき目の前の壁に激突したし、と彼は目の前の壁を親指で指した。


「でも時間ねぇのは事実だし、さっさと抜けようぜ」

「……」


私がそれでも不安にそうにしていたからか、彼は「何?」とニヤリと笑った。


「もしかして安藤せんせー、怖いの?」

「は、はぁ!?んなわけ!」

「別にいいよー?俺にしがみついても」

「っ……そんなことしません!」


私たちがそんなことを話し合っている内に待てなくなったのか、「2人とも早くしてよー」と奥の方から声が聞こえてきた。
それを聞いた幸澤先生は目線だけで私に「行け」と指示をする。

本当に怖いのは彼なのではないだろうか。よし、彼が怖がるところを私が笑ってやろう。

そんな強い気持ちで私は前へと踏み出した。



< 217 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop