いい加減な恋のススメ



なのに、


「わっ!?」

「……」

「ひゃああっ」

「……」

「いやぁあぁあっ」

「……」


彼は「安藤」と残念そうな顔を向けると私に言った。
見事に彼はどの罠にも怖がらずに、それに対して私はいちいち大きなリアクションを見せていた。

ぶっちゃけ舐めてた。ずっと一緒に作業してきたし、どんな脅かしがあるのかも分かってきたつもりなのにこんなにクオリティが高いなんて。


「な、何で!?怖くないんですか!?」

「いや、怖くねぇよ。てかお前の方が変だぞ」

「なっ……」


確かに私が悲鳴を上げる度向こうからクスクスと笑い声が聞こえてくるけど。って、皆馬鹿にしすぎだよね。
そう言って歩いていると脅かしてきたお化け役の生徒にまた声を上げてしまった。あぁ、なんて恥ずかしいんだ。

本当に早く出てしまいたい。

そんな私に彼は1本腕を私の前に差し出した。


「ほらよ」

「……はい?」

「しがみついててもいーぞ」

「はい!?」


得意気に言った幸澤先生に腹が立って更に大きな声を出す。


「な、何でそんなことっ……幸澤先生の助けなんて無くても大丈夫ですから!」

「ふーん、無理しない方がいいんじゃない?安藤先生の今後の名誉のために」

「う、うるさっ……きゃぁあぁあぁ!」



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