いい加減な恋のススメ
ハッと我に返る。私は思いっきり驚いた瞬間に彼の腕にしがみついてしまっていた。
自分のやった行為に恥ずかしさを覚えると直ぐに彼から離れようとした。が、それを彼は許さないかのように私の腰に腕を回すと自分の方へと近づける。
縮まった距離に熱が上がると彼は私の真上から悪魔のように微笑んだ。
「俺が安藤のお守りしてやるよ。だから安心しろ」
「っ……」
離してください!、と声を上げるが彼は「それじゃあドンドン行こう!」と前へと進み始める。
もう怖いとかそういうんじゃない!ただ彼との距離が近すぎてドキドキが止まりそうになかった。
彼にしがみついてから違う意味でこの状況が怖くなくなった。
この人、絶対私が自分のこと好きじゃないからってこんなことするんだ。そう考えると凄くムカついてきた。
「いたっ、いだだっ、おい!いてーな!」
「……」
「黙って腕引っ張んな!」
ちょっとこの状況が恋人みたいで嬉しいかも、なんて思った私が考えすぎみたいじゃないか。
こういうときにしか近付けないのを理由に強く彼の腕にしがみついた。