いい加減な恋のススメ
しかしリック先生はこの前とは別人のようにして振る舞う。あんなに日本語上手だったのにどうして片言で喋るんだろう。
「大丈夫デスカ?」
「へ?」
「顔色悪いデスヨ」
「……」
そう言ってニッコリと笑った彼に私は目線を逸らす。しんどい訳じゃないけれど、少し悩んでしまっているだけ。
この前リック先生に言われた通り、私は幸澤先生へと気持ちに気が付くのが嫌で彼のことを後回しにしてしまっていたけれど、結果それは小田切先生を気付けててしまった。
あの時リック先生に言われたことは確かだった。
「何か悩み事?」
「……」
前を向くとリック先生が先程と雰囲気を変えて話し掛けてくる。
私が首を縦に振ると彼は微笑ましそうに笑った。
「大変だと思うけど、今のイズミの方が好きだな。人間らしくて」
「人間、ですか?」
「頑張ってぶつかっているから、悩んでるんでしょう?」
「……」
そうか、幸澤先生に気持ちを伝えようか伝えないかで悩んでいるということは、伝えようという気持ちはちゃんとあるということだ。
その事を私に気付かせてくれるとリック先生は「fight!」と、
「イズミのこと、応援シマス。ガンバッテクダサイ!」
「……は、い」
私、自分の気持ちを大事にしたい。彼に気持ちを伝えたいっていう気持ちを大事にしたいから。
「……」
だから、言わなくちゃ。