いい加減な恋のススメ
男子と女子のいがみ合いが始まってしまった。まぁ、ほぼ女子の勝利だが。てか途中でちょっと俺のこと馬鹿にしたくない?
小田切はこの状況をまた困ったように笑っていた。この男、この場を流そうとしているのか。
「お前ら次どこ行くんだよ」
「お化け屋敷だけど?」
「んだよ、俺たちと一緒じゃねぇか!やめろ!」
「はぁ?何でそんなことアンタたちに言われなきゃいけないの?」
文化祭の、それも目立つ廊下でこんなに大声で喧嘩されたら困るのは客の方だ。
俺ははぁと溜め息を吐き、ポケットから財布を取り出した。
そして、
「分かった、ここに3000円がある。これ使って何か食ってこい」
「ええ!?いいのか!?」
「幸澤太っ腹ー!」
一気に目の色を変えた生徒たちは俺から札を受け取ると仲良く校舎外への走り出して行った。さっきまでの喧嘩は何だったんだというぐらいの仲の良さだ。
俺がもう1度溜め息を吐くと隣にいた小田切が「ははっ」と笑い声を出した。
「可愛いですね、あの子たち。本当は凄く仲良いのに」
「生徒は生徒と仲良くなるべきだよな」
「すみません、迷惑掛けちゃって。でも幸澤先生凄いですね、一瞬で生徒たちの喧嘩をやめさせるなんて」
「そうでも。財布には痛いですけど」
結婚してないから出来る技だぜ、と言えば彼は「なるほど」と微笑む。いや、意味分かってんのかよ。