いい加減な恋のススメ



「というか、幸澤先生生徒たちから人気ですよね」

「君は女子から人気だよね」


羨ましい限りだよ、と財布をしまう。
しかしこうして漸く自由がやって来たのだから奴等が帰ってくる前にさっさとこの場を去りたいものだ。


「でも、実質モテてるのは幸澤先生の方かと」

「そうかー?三十路にもなれば相手にしてくれる若い女もいねぇよ」

「……そうかな」


小田切は小さな声で呟いた。
コイツも安藤と一緒で変なやつだ。全てが満たされているようなヤツなのに何故かこんな不満げな顔をする。

安藤も、そういうのを感じる。言ってしまえば俺とお化け屋敷に入っていたときは素に近いというかアイツ自身だったと思うが、外に出た瞬間アイツは寂しそうな顔をする。

が、俺はそれに何も言ってはやれないが。

あぁ、そうだ。安藤だ。


「お前、あんまりああいうのしない方がいいんじゃねぇの?安藤が妬くぞ」


ただの忠告のつもりだった。一応歳上な訳で、コイツの過去については全く知らないが、勝手に自分は小田切よりも経験があると思い込んでの発言だ。
だから別に簡単に流してくれるだけでも良かったのに。


「え?」



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