いい加減な恋のススメ
それでも、
「よっしゃ幸澤お化け屋敷行こうぜ」
「その前にこれ食わなきゃヤバくね?」
「ビビって誰か吐くんじゃねぇの?」
そんなことでケラケラ笑っている男子たちを見つめながらもなかなか抜けないあの言葉に苛々する。
黙ってその事を認めると気怠く声を発した。
「ちょっとお前ら先行ってろ」
「何で?」
「教師同士の大事な話」
後から行くわ、と言うと奴等は安心したように階段の方へと歩いていく。
軽く時計を確認すると「で、」と小田切の方を向いた。
「それ、何」
小田切のヤツは驚いたように目を丸くする。
「まさか、聞き返させるとは思いませんでした」
「裏でこそこそされんの嫌なんだよなぁ。ここでハッキリ言っとくべきたぜ。で、何なの?」
「……気になりますか」
「ウザー」
最近若いヤツにとことんからかわれている気がする。こいつらが考えてることが全然分からん。俺もやはり歳なのかもしれない。
小田切は未だ不思議な表情のままだった。
「いや、別に裏でこそこそするとかじゃ」
「いいから言えよ、それは俺が後で判断してやる」
「……」
小田切は少し黙った後、「ただ、」と言葉を続けた。