いい加減な恋のススメ
あぁ、期待している。
直ぐ勘づいてしまうのは俺の悪い癖だけど。
「いいお返事ー」
さっと流す、何事も無かったようにする。それも俺の癖。
そんな悲しそうな顔しないでよ、俺はお前が思っているような優男じゃないんだぜ。ただあの時は気分で人助けでもしてやろうかと思ってただけ。
それに以外の気持ちなんて何もなかった。だからそこから新たに気持ちが生まれないことを俺は知っている。
「あ、あのっ……こ、うさわ、先生……」
そんなガッタガタな声が聞こえたのはその授業の終わり。
まさかと思って振り向けばやはりあの生徒がそこには立っていた。
「あー、えっと……」
「あ、安藤です……」
「そうそう安藤ね」
何が「そうそう」だ。一瞬で覚えたくせに。
頭の中ではこの先どうしようかとらしくもなく必死に考えていた。
安藤、もうちょっと考えた方がいいよ。だって俺教師だぜ?どう考えても無理なこと分かってんだろ。諦めちまえよ、早く。
そうじゃないと、お前の高校生活のスタート崩れんぞ。
「あの時は、ありがとうございました」
安藤は期待していた通りの言葉を吐いた。そして先程のような、俺を見付けたときのような目をした。