いい加減な恋のススメ












杏から連絡が来たのはリック先生の劇を観た後だった。忘れていた、杏も今日来るんだってこと。
校門まで迎えに来て欲しいと言われたので川西先生と別れると急いで昇降口側へ向かう。

しかしとてつもなく人が多い。人の波に流されないようにと必死に歩いた。特に外では露店が並んでいるために中よりも人は多いかもしれない。こんな中から人を見つけろなんて無茶だ。

昇降口から出たところで再び杏から連絡があった。


「もしもし?」

『あ、泉?まだ?」

「今着いた、でも人が多すぎて」

『あー、ね。でも私が動くよりアンタが動く方が絶対いいわよー』


確かに、私は人混みの中に入っていくと校門の方へと何とかして進む。
そりゃこんな時間に学校を出ていく人は少ない為に流れに逆らってあるいているようなもんだ。

杏に会ったら全部伝えて相談してみよう。彼が覚えていないだろう私との出会いも、小田切先生と結局のところ別れてしまったことも、気付いた彼への気持ちも。
きっと杏のことだから最後の話を聞いても「だと思った」とか言うんだろうな。

ていうかそれでもいいやと思ってしまうところ、私はいつの間にそれほど彼のことを……



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