いい加減な恋のススメ
て、ていうか!
「(めっちゃ目立ってるんですけど!)」
周りの人からの視線を沢山浴びていても彼は気にしないのか、私の腕を引っ張っていく。生徒たちも不思議そうに私たちのことを見つめていた。
せめて腕を離してくれたらいいのに、と思って何とか腕に力を入れてみてもそれを防ぐかのようにぐいっと前に引っ張られた。
本当、何なの。
「……」
不覚、ドキドキする。
階段を2階上がって辿り着いたのは社会科準備室だった。勿論ここは何にも使われていない。
もしかして授業のことで?でも何でそれを文化祭の時に?
「……あ、あの?」
「……」
彼は私の言葉に返事をせず、静かに教室の鍵を開けた。彼の顔を見つめていたら視線だけで「入れ」と指示された。
入れって言われても。
私が立ち止まっていると苛々が最高潮に達したのか、彼は私の背中を思いっきり押すと無理矢理中へと押し込んだ。
うわぁっ、と情けない声を出した私は何とか躓くのを避けるようにして踏み留まると、慌てて後ろを向く。
「ちょっと、いきなり」
何するんですか!、と声をあげようと思ったその時、私の体が彼によって抱き締められていた。