いい加減な恋のススメ



「じゃあ、こういうことされてもいいんだ?」


彼はそう言うと私の後頭部に手を回し、そして自分の方へと近付けた。無防備過ぎたからか、私の体は簡単に彼の方へと引き寄せられてしまった。
至近距離で見つめられ、硬直する私に彼は顔を重ねようとする。

ぎゅっと目を瞑った私の頭に過ったのは、いつものあの彼の言葉だった。







「……駄目です」


私はそう言うと彼の口を自分の手で塞いだ。


「好きじゃないのに、こんなことしちゃ、駄目です」


もう流されたくない。曖昧な関係でいたくない。
だって私は気付いてしまったんだ、自分の気持ちに。

彼のことが好きだと。


「……じゃあ、」

「!?」


彼は私の手を口から取ると再び顔を近付け、そして唇を重ねた。
噛み付くようなそのキスはまるで本当に私のことを食べるかのように唇に歯を立てた。


「んっ……や」

「……」

「嫌っ……」


体を引くと唇を離れた。どうして、こんなことするの。好きじゃないのに、ただの遊びなのに。私の気持ち、どうして分かってくれないの。
彼は私の頬に手を添えるとクイッと上を向かせる。自分と目を合わせるようにすると彼は見たこともない切ない顔のまま言った。


「だからする、とか……考えねぇの?」



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