いい加減な恋のススメ
え、だって私がその話した時は知らないって言っていたのに。
私の表情で何が言いたいのかを汲み取ったのか、彼は半分諦めたような顔をした。
「面倒だったんだよ、そんなこと覚えられてるの。だから知らない振りをした」
「な、何で……」
「だから面倒くせぇって言ってるだろうが」
生徒から好かれるとか、と付け足した彼に私は「は!?」と声を上げる。生徒から好かれる!?その生徒ってもしかして私のこと!?じゃあ彼は昔から私の好意に気が付いていたのか!?
パクパクと口を開ける私を無視するように彼は立ち上がると渋々とソファーの元へ行き、怠そうに腰掛けた。
「そもそもお前が俺のこと好きな癖に他の男と付き合うから面倒なことになってんだろうが」
「は、は!?」
「んだよ」
好きって、え!?もしかして今も私が彼を好きだってバレちゃってるの!?ていうかいつから!?
私の気持ち、全部彼に知られてしまっているの!?
「色々言いたいことあるみてぇだがまずは俺からだ。お前、何で小田切なんかと付き合ったんだよ」
「っ……それ、幸澤先生が言わすんですか」
「あー、言わすね。早く答えろってんだ」
なんて横暴なんだろう、自分のことは棚にあげまくってるよこの人。
それに小田切先生と付き合った理由なんて恥ずかしすぎて彼の前で口に出来たようなもんじゃない。
それでも彼は許してはくれないらしく、私は全てバレてしまっているんなら仕方がないと開き直った。
「あれは、幸澤先生のことを忘れようとして……」
というより、幸澤先生が好きだと気付くのを恐れてしまった、が正解だがこんな恥ずかしすぎること絶対言えない。
彼は「ほーぉ?」とその長い足を組み替えた。てか何でこの人が偉ぶってんだ!
「そんなことする必要ねーじゃん」
「よくそんなこと言えますね、私の気持ちに気が付きながらからかったりしていた幸澤先生が」
「いつからかったんだよ」
「っ……つ、付き合ってもない私のこと襲ったじゃないですか!」
「別に拒んでなかったじゃねぇか」
「そ、れはっ……」
そんなことまで言わすつもりか!
ていうか今よく考えてみたら何であの時彼のことを拒めなかったのって彼のことを好きだったからだ。今頃それに気が付くなんて!恥ずかしすぎて死んじゃいそうだ!