いい加減な恋のススメ
そう言うと彼がピクリと反応して「あぁん!?」と怒ったように声を上げた。
「んで俺が餓鬼の恋愛に嫉妬すんだよ!馬鹿かてめぇは!」
「で、でもだって……私が他の人好きになったら嫌なんですよね」
「別に嫌じゃねぇーよ」
「さっきから言ってることあっちこっちしてますよ」
「……」
そうか、だったら今までの彼のいい加減な行動って全部、
「(ヤキモチだったんだ……)」
そう思ったら全身が一気に体温を上げる。心が死ぬほど嬉しいって叫んでいる。こんなこと、生まれて初めてだ。
幸澤先生はもう言い逃れは出来ないと思ったのか、「知らねぇよ」と拗ねたように顔を逸らす。それがやっぱり可愛く見えた。
「でも、何で今頃……高校の頃は私のこと相手にもしてくれなかったのに」
「誰が生徒に本気になるかよ。てか、あの時はお前の気持ち信じてなかった」
「信じてなかった?」
「大体、教師を好きになるなんてただの疑似恋愛だ」
それもお前の場合は状況が状況だからな、と言った彼に私は何故か納得させられ掛けた。
状況というのはきっと受験の日に私のことを彼が助けてくれたことだろう。確かに助けてくれた人が彼じゃなくても、そこまで親切な人だったら私は好きになっているかもしれない。