いい加減な恋のススメ
「なんか泉ちゃん機嫌良くない?」
こちらを振り向いた女子生徒に私は「え!?」と声を漏らす。
「分かるー、授業中もニヤニヤしてるしねー」
「に、ニヤニヤなんて……」
「もしかして何か良いことあった?」
「……」
小田切先生とのことを思い出して顔を染めると生徒たちが奇妙な声を上げる。あ、私馬鹿にされてる。
でもそうか、顔に出てしまっていたのか。私って自分で思っているよりもっと単純なのかもしれない。
「ね!ね!?泉ちゃんって結局彼氏いるの!?」
「そうだよー!気になる!」
「一緒にいる時間少ないんだからさ、教えてよー」
え、そんなの理由になるの?私が「いやいや」と手を前に出して断っていると教壇に立っていたその男が机をファイルで2回ほど叩いた。
「それ、休み時間にやってくんねーかな」
幸澤先生は気怠げに言った。そもそもアンタがもっとやる気を出せ。
「君たちが知らなきゃいけないのは鎌倉時代の政治ですよー」
「えー、もしかして幸澤ヤキモチー?」
「は?誰に」
「泉ちゃんのか、れ、し」
その言葉に誰よりも動揺したのは幸澤先生ではなく私の方だった。
ていうか幸澤先生は私に彼氏がいないことなんて分かりきっていると思うし、絶対こんな質問心の中で笑ってるよ!