いい加減な恋のススメ
予想通り、彼は「はぁ?」と顔を歪めた。
「お前らが何期待してんのか知らねぇけどマジでないわー。もう少し面白い冗談言えって」
「だって三十路でまだ結婚もしてない幸澤が可哀想なんだもん」
「はは、それでも俺安藤のことなんてどーでもいいもん」
出た、どーでもいい発言。まぁこんな言葉じゃ私は全然傷付かないけどね。だって今日はこれが終わったら小田切先生とご飯だし。
そうだよ、今までずっとこの男に振り回されてきた。もう解放されてもいいんじゃないかな。
「幸澤先生」
私がそう呼ぶと彼は面白そうに顔をニヤけさせた。いつも通り私が怒るのだと思っているのだろう。
私はそんな彼の思惑を無視するように、
「授業が遅れてしまいます。進みましょう」
彼は私のいつもと違う態度に少し戸惑ったようで、暫く時間を空けると「あぁ、」と呟いて黒板の方に向き返った。
その様子に今度は私が顔を歪める。やった、幸澤先生を撃退できた。こんな方法があったなんて。
朝の出来事なんて、もうとっくに忘れていた。