いい加減な恋のススメ
別に私が機嫌良いだろうが悪いだろうが幸澤先生には関係ないじゃない。
私は何かよく分からないモヤモヤとした気持ちを胸に荷物を鞄の中に詰め込んでいく。
すると隣に座っていた小田切先生が先に立ち上がった。
「じゃあ、今日はこれで失礼します」
彼がそう言うと他の職員さんたちは「お疲れ様ー」と声を掛ける。私も遅れながら「お疲れ様です」と付け加えた。
そしてそのまま彼の姿を目で追っていると職員室を出る前に彼がこちらを振り返って指先を下へと向けた。きっと1回の校門前で待っているということだろうか。
私も待たせちゃいけないと急いで準備をして席を立ち上がる。すると丁度後ろに立っていた人物と体がぶつかった。
振り返ってみるとそこに立っていたのは幸澤先生だった。
「あ、」
なかなか「お疲れ様です」の言葉が出てこない私をじっと見つめる幸澤先生は暫くして小田切先生が出ていったばかりの職員室の出入り口に目を向けた。
そして一言、
「……そういうこと、ね」
「え?」
幸澤先生?、と呼び掛けると再びこちらを向いた彼は真顔のまま私に話し掛けた。
「今から時間ある?」
「え?」
「社会科準備室行くから。教えたいことある」
「……」
どうしよう。