いい加減な恋のススメ
社会科準備室には何回か足を踏み入れたことがあるがそのまた奥にある部屋には入れて貰ったことがなかった。
「何ですかここは。備品とかの倉庫?」
「ちげー」
幸澤先生はその部屋の扉を開くと側にあった電気も付けた。少し切れ掛けの電灯が部屋を薄暗く照らす。あまり使っていないのか、埃が目に見える。
「わっ、凄い数の本ですね!」
「……」
幸澤先生はそんな私の感想を無視してその部屋に足を踏み入れた。その小さな倉庫のような部屋の壁は全て本棚に覆われており、そしてその中にもビッシリと本が納められている。
「ここ、自由に使って良いから」
「え、良いんですか?」
「まぁ、全部が全部日本史の本って訳でもねぇけど。この学校の先生とかが自分達が持ってるやつ持ち寄ってここ埋めてんの」
今ではどれが誰のかわかんねー、と幸澤先生が苦い顔をして言った。
それにしても凄い数だ。それに色々な先生が持ち寄っているからか、同じ日本史でもジャンルが全然違う。
漫画まであるし、これは完全に幸澤先生の私物だな。
「あれ、久しぶりにここが空いてると思ったら」
不意に聞こえたその声に目を向けるとドアの方から誰かが覗き込んでいた。