わがままなキッス☆ 【短編】
学校までは
ひたすら沙織が何か喋っていた。僕はそれが嫌いじゃない。


うざいと思う奴も
いるかもしれないけど
ころころ変わる
沙織の表情を見ているのが
僕は好きだったから。



「あっ、ねぇ惣太。」


沙織が急に僕の耳元で
小声で話しかけてきた。

もしかして……


「早川君に話してくれた?」


やっぱり……


『うん、話したよ。』


「それで、なんて…」


『OKだって。』


「ホント!やったぁ♪」


嬉しそうに笑う沙織。
僕の心は複雑だ。
沙織の笑顔は大好きなのに
僕のための笑顔じゃないから。


『来週の土曜なら空いてるって
言ってた。』


「わかった。由里にも言っとく。楽しみだなぁ〜。」


ウキウキしている沙織を横目に
僕は小さくため息をつく。


沙織と遊園地に行けるのは
嬉しいんだけど…

きっと早川と
ベタベタしてるのを
見なくちゃいけない。
それを思うと憂鬱だ……。


*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*
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