わがままなキッス☆ 【短編】
放課後図書室に本を返し
一人帰ろうと校門を出る。

すると後ろから
誰かに声をかけられた。


「惣太君、今帰り?
一緒に帰っていい?」


振り返ると由里ちゃんだった。


『うん、いいよ…』


あんな事を言われてから
何となく彼女が苦手だった。
見透かされているようで
なんだか落ち着かない。


「沙織は?」


『クラスの女子と
カラオケだってさ。
歌上手くもないのによく行くよ』


僕がむくれて言うと
由里ちゃんはクスクス笑った。


「最近沙織、早川君とは
一緒に遊んでないのかな?」


『えっ…あ〜そう言われると
最近話題にでないなぁ。』


「そう…」


少しほっとしたような
返事が返ってくる。

気のせいかな……

僕は横目で由里ちゃんを見た。
なんだか複雑な表情を
浮かべている。

彼女が何を考えているかは
僕にはわからなかった。


やっぱり僕は鈍感なのか…?



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