わがままなキッス☆ 【短編】
「あっ…!」
しばらく黙って歩いていると
急に由里ちゃんが声を発した。
彼女が見つめる先を見ると
沙織と早川が歩いている。
『えっ…』
クラスの女子と
カラオケだったはず…
沙織は僕に嘘はつかない
っていうかつけない。
嘘ってすぐばれるから…。
なのに……
僕は珍しく混乱していた。
その為、由里ちゃんの
異変にも気づかない。
彼女が僕の腕をぎゅっと掴む。
『あいつら…もしかして
付き合ってるのか?』
僕がボソッと呟くと
由里ちゃんの体が
ビクッと反応する。
そして急に踵を返すと
走り出した。
『由里ちゃん!』
僕は振り返り彼女を呼ぶ。
何故急に由里ちゃんが
走り出したのかわからなかった。
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