わがままなキッス☆ 【短編】

「惣太!」


僕の声が聞こえたのか
沙織と早川が
こちらに近づいて来る。


「ねぇ、どうしたの?
今走っていったのって由里?」


『えっ、あ…うん。
お前ら見て急に走り出して…』


沙織と早川は
顔を見合わせている。
僕はなんだかイライラして
つい大きな声を出してしまった。


『沙織!クラスの女子と
カラオケって言ってたよな!
嘘ついて早川と…
お前ら付き合ってるのか?』


僕の声に沙織は一瞬驚いたが
すぐに慌てたように聞き返す。


「それ由里にも言ったの!?」


『えっ、言ったけど…』


それを聞いた沙織は
早川の方を向くと


「早川君、由里追いかけて!」


早川は小さく頷くと
由里ちゃんが走り去った方へ
走って行ってしまった。


僕には何がなんだか
さっぱりわからず
早川の走り去って行く
後ろ姿をただ見つめていた。



*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*
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