わがままなキッス☆ 【短編】

『小学校の時、沙織が
好きな子が出来たって
言ってから、僕は沙織への
気持ちを隠すようになった。』


沙織は驚いた顔をして
何か言おうとする。
僕はそれを遮るように
話しを続けた。


『ねぇ覚えてる?
12年前の約束。僕はずっと
その約束があるから大丈夫だ
なんて思って逃げてたんだ。
でもそれじゃ
ダメだって気づいた。
って言うか気づかされた。』


沙織の頬を伝う涙をそっと拭う。


『沙織を誰にも取られたくない。だから…ずっと僕のそばにいて
ほしいんだ。』


僕は泣いている沙織に微笑む。
その瞬間沙織は僕に抱きついた。


『沙織……』


僕は沙織を抱きしめ返すと
優しく沙織の頭を撫でる。


「惣太…ごめんね…」


『えっ…』


沙織に謝られた僕は
フラれたと思い言葉を失う。

それを察した沙織は
僕の胸に埋めていた
顔を上げ叫んだ。


「ち、違うの!」


何が!?
僕は言葉にしたかったが
上手く声が出ない。
ただ沙織の顔を見つめていた。



*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*
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