青蒼の夜半に、闇色の鳥を
『扉の奥は王宮の最奥に繋がっている。

 硬く閉ざされた、王宮の奥津城だ』

 砂だらけの床に座り込んで、ジャスパが囁く。

 長年の不摂生に壊れた喉は、しゃがれた悪声しか紡ぎ出せない。

 まるで昔語りに出てくる悪い魔女みたいだ。

 ひとの心の隅っこにある小さな悪意を唆し育てる、邪悪な魔物。
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