院内恋愛(旧:恋の階段*タイトル変更しました)
「真美は、夜勤の日は、勤務前に寝てから行くの?」

私の勤務する病棟は、日勤と夜勤の二交代制。夜勤の日は、夕方から出勤し、明日の朝までの勤務となる。夜間に、交代で仮眠を取ることになっている。

「朝起きたのが遅ければ寝ない日もあるし、お昼寝してから行くこともあるけど。(最近は、あまり寝られなかったし、もし昼寝で寝過ぎるのも怖くて…)」

「眠剤(睡眠薬)は飲んでないの?」

「なんとなく、癖になるのが怖くて…」

「よく、『患者さんには少ない量だし、大丈夫ですよ。』って言ってるのにな。」

これには、苦笑いするしかない。睡眠薬が癖になるのを不安に感じる患者さんは多く、実際にやめられなくなる人もいる。ただ、入院中という特殊な環境なため、自宅に帰れば大丈夫な人もいるのだ。

色々な人を、色々な薬を知っているがゆえに、そして、同じ薬でも人によってだいぶ効果がちがうことを知っているがゆえに、眠剤には手を出せていなかった。風邪薬とかはすぐに飲むのだけれど。

「まぁ、とりあえず今日は寝られたみたいだし。昼寝もする?」

「-蒼介は、予定は?」

思い切って、呼んでみた。

それに、笑顔を浮かべながら、答えてくれた。

「特に、ないけど。」

「うわっ、寂しい。せっかくの週末なのに。」

敬語なしで話すのはちょっと緊張するし、たどたどしい時もあるけれど、距離が近づいたようで、うれしい。保留にしといて、うれしいなんて、贅沢だけど。
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