甘いペットは男と化す
「いらっしゃいませー」
アカリを会社へ見送って、
俺は一人、この前のカフェへと来ていた。
本当は来たくなんかないはずなのに
どうしても気になって勝手に出向いてしまった足。
「一名様ですか?」
「はい。……あの、向こうの席でお願いします」
「奥の席ですね。えっとそちらは……カップル様専用席となっているのですが」
「すみません、お願いします!今回だけでいいので」
「……かしこまりました」
ウェイターは、俺の必死さに多少驚きながらも、店内にお客が少ないことからそこの席へと案内してくれた。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
そこは、カップル専用というのがよく分かった。
半個室となっている壁の部分は、幸せのモチーフとされる四つ葉のクローバーがいたるところに内装されていて、ハートはないものの、可愛さがはっきりと主張されていた。
だけど驚いてはいなかった。
昨日、アカリと来たとき、頭の中でこの内装は思い浮かんでいたから……。
だけど一つだけ、頭の中に思い浮かべられなかったものがテーブルの隅に置いてあった。
「………ノート?」
それは、5冊に渡る黄緑色のノートだった。