甘いペットは男と化す
「じゃあ、また月曜日」
「はい」
マンションの前について、一人タクシーから降りた。
もちろん、矢代さんから「やっぱり寄っていい?」なんて言うことはなく、一言挨拶だけ。
タクシーが見えなくなるのと同時に、マンションへと向きなおそうとした時だった。
「おねえさん、ここに住んでるんだ?」
「え?」
まさかのその声に、驚きながら振り返ると、
そこにはもう会いたくないと思っていた彼がいて……
「矢代さんだっけ?付き合ってるの?」
何食わぬ顔で笑うその微笑みは、やっぱり同一人物とは思えない。
「……あなたには関係ないでしょ」
怒りなのか悲しみなのか、分からない感情が沸々と湧きあがって
だけど冷静を保ちながら、彼の横を通り過ぎようとした。
「ねえ」
だけどそれを許すまいと、彼があたしの腕を掴む。
「今日、泊めてくれない?」