甘いペットは男と化す
「や、めてっ……!」
部屋に入った瞬間、気づけばベッドの上に押し倒されている自分。
上にはケイがまたがっていて、面白そうにあたしを見下ろしている。
「なんで?
俺とおねえさんって、こういう関係だったんでしょ?」
「…っ」
当たり前のようにあたしを抱こうとするケイは、もはやあたしの知っているケイの面影は微塵も感じられない。
女を道具としてしか見ないような……
好きでなくても欲のためだけに抱くような……
最低な男。
「そ、んなんじゃないっ……。
あたしとケイはっ……」
「愛し合ってた。なんて言いたいわけ?」
分かりきっていたように、言葉を遮るケイ。
見上げると、さっきとは変わらない冷たい微笑みをした瞳があって……
「悪いけど、俺にそんな感情、持ち合わせてないから」
言葉とは裏腹に、
どこか哀しみが含まれているような気がした。