甘いペットは男と化す
 
「ケ…イ……?」


思わず呼んでしまった彼の名前。

一瞬だけ揺らいだその瞳を、見逃さなかった。


冷たく……
見下したその瞳の奥に、

小さく揺れる、悲しみの瞳。

前にも時折見えた、あの悲しげな瞳と変わらない。


それが分かると、さっきまで感じていた恐怖がなくなって
押さえつけられた腕をなんとかあげて、ケイの頬に触れた。



「愛を持ち合わせてない人なんて……いないよ…?」



綺麗ごとと言えば、そうかもしれない。

だけどきっと誰もが、愛を求めている。
捨てきるなんて、絶対に出来ない。



過去のケイなんて知らない。
本当のケイなんて知らない。


それでも……




「あの時、ケイは確かにあたしを……」


「っるせぇ!!」




ケイはあたしの言葉を遮るように、大声で怒鳴った。
  
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