甘いペットは男と化す
 
「DVDになっている映画とかで、お勧めのものってあります?」
「そうだなー……」


このまま、「いつにする?」という話にもっていかれると困ったので、あえて自分から質問を吹っかけた。

矢代さんは、いろいろなことを頭に浮かべながら、いくつかを答えてくれる。


「ブロークン・タイムなら家にあるから、今度家に見にきなよ」
「……はい…」


ハードルが上がった……。
と、自分に後悔。


「北島さん、深く考えすぎ。軽い気持ちで話していいから」
「え?あ…ははっ」


あたしの考えていることなんてお見通しみたいで、矢代さんは苦笑交じりで突っ込みを入れてきた。

あたしってば恥ずかしい女だな……。



「でもさ。ほんと……映画デートするところからでいいから」

「……」



ほんのり頬を染めて、照れた顔の誘い。

さっきまで余裕な表情だったのに、急にその顔は卑怯だ。


こっちまで照れが移ってしまいそう。





「ここいい?」





だけどそれを、一人の声がぶち壊した。
 
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