甘いペットは男と化す
「勘違いしないで。
あたしが好きになったのは、記憶をなくしてたときのケイだよ」
「でもその時の俺も今の俺も、同じ俺でしょ?」
「……」
それを言われたら、何も言い返せない。
確かにそうで……
自分でも言った記憶がある。
記憶を取り戻したって、あたしが好きなケイには変わらないと……。
でも……
「あなたが覚えていないんだったら、話はべつだよ」
ケイは、あたしの存在すら覚えていないんだから……。
ケイはそれ以上、何も言わなくて
二人の間に沈黙が流れた。
「あ、たし……菅野ちゃんのとこに………っ」
沈黙に耐えられなくて、席を立とうとしたら、それを制するように腕を掴まれた。
振り返ると、ケイがじっとあたしを見上げていて……
「ダメ。ここにいて」
意味も分からず、あたしの手をぎゅっと掴んだ。